<発行>
ビープラッツ株式会社/クウジット株式会社(2026年)
<背景・課題>
長期運用されたシステムは規模・複雑さが増し、設計知識が一部の開発者に偏在(属人化)しやすい。ビープラッツ社のPHPベース大規模Webアプリ(ソースファイル約9,000件)を対象に、クウジット社が2025年12月〜2026年3月に構造化ドキュメント化プロジェクトを実施した。
単純にAI Agentを適用するだけでは以下の課題がある:
● コンテキストウィンドウ制約:9,000件を一度に処理不可
● セッション分断:進捗管理をAgent単体では継続できない
● 出力品質の非保証性:「100%完了」ログでも実際はファイル欠損が発生
● 運用障害:トークン制限、サービス障害、巨大ファイル対応など
<解決方針>
Python(厳密制御)とAgent+LLM(意味処理)の役割分担が核心思想。
● Python/progress.json:処理順序管理、進捗永続化、中断・再開、整合性チェックなど
● Agent+LLM:ファイル説明文生成、要約、意味的文書化
ボトムアップ構造化:
Pass 1(ファイル→モジュールのドキュメント生成)→ Pass 2(ER図・DB定義書等の全体俯瞰情報生成)→ HTML変換。コード解析にはSerenaを活用し、依存関係の精度を大幅改善(依存元エントリ64→150、要調査箇所6→0)。
<実装上の工夫>
● API制限の自動待機・自動復帰
● 35,000行超の巨大ファイルはスキップ/簡易生成
● サーバー障害時の自動リトライ、progress.jsonバックアップ
● 整合性検証:LLMの「思い込み」(完了したと誤認するが実際は欠損)に対し、ソースツリーとの照合で欠損検知。プロンプトを「推奨」→「必須」に変更しただけで情報欠落(例:あるモデルのリレーション18件が0件と記載されていた事例)が劇的改善
<成果>
● ファイルドキュメント9,038件、モジュールドキュメント1,274件、ER図80件など、合計10,465件の設計ドキュメントを生成
● 実務向け追加ドキュメント(定数辞書、ACLマッピング、ルーティング一覧など)11種類をPython完全自動生成
● コスト目安:API従量課金で4〜5日・約$3,000/月額サブスクで2〜3週間・$200〜400
● 開発現場からの36件の要望を分析し、自動化可能な範囲と人手が必要な範囲を分類
<今後の展開>
● 別リポジトリ(約1,300ファイル)への適用実績あり、アダプターパターンで汎用性向上
● 生成ドキュメントへのRAG適用+Serenaによる構造解析を組み合わせた検索・対話基盤の構築
● レガシーシステム(COBOL、VB6、Delphi等)のモダナイゼーションの足場としての活用
● 差分更新、外部情報源統合、本番運用基盤への発展を計画
<結論(3つの知見)>
● 厳密制御すべき部分とAIに委ねる部分の役割分担が大規模AI活用の成否を分ける
● LLM出力は信頼できない前提で、検証・欠損検知の仕組みを外側に設計すべき
● 事前の構造化知識基盤があることで、Agent活用の効率も大幅に向上する
<資料サンプル>※一部のみ掲載
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